■低下した聴力を取り戻すのに、効果絶大です
機種選定と、調整の適否で、効果は大きく異なります
何故なら、補聴器はご使用者の聴力特性に合わせた調整が必要で、調整しない補聴器はただの拡声器のようなものだからです。
お求めになった補聴器がよく聴こえないとか、雑音ばかりだとか、ピーピーとハウリングばかりで使いづらいとか、そういった事でご相談にお見えになる方が少なくありません。補聴器はすばらしい器具ですが、機種選定が不適当だったり、適正に調整されなければ、このような不満を抱えることになります。特に、機種選定を誤れば、調整でカバーできないことにもなりかねません。そうならないように補聴器は、専門店でお求めになるようお薦めします。
専門店の補聴器・・
- 音を大きくするより、言葉の聞き取り改善を目指します
- 万能ではありませんが、お一人毎に最適化します
低下した聴力を補い取り戻すのが補聴器ですが・・
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ただし、補聴器は万能ではありません。聴こえの能力を補って、諦めていた会話や電話も勿論、楽しめるようになりますが、若かった頃の聴こえが戻る魔法の杖ではありません。補聴器は適切な機種の選択と、ご使用者ごとの聞こえ方にフィットさせる技術が必要です。そして、本当に体の一部のような自然な使い心地を感じるまでにはご自身が補聴器に馴染むトレーニングも必要です。
機種選定は私どもの責任です。もちろん、調整技術も私たち補聴器の専門家が経験と技術でご奉仕する仕事です。トレーニングはご自分が補聴器に馴染んでいただくことで適います。よく言葉が聴こえてくるまでに何週間も何ヶ月もトレーニングが必要だと言う説明を見聞きしますが、少し違うと思います。満足な調整ができていない補聴器は、何ヶ月掛けても聴こえるようにはなりません。
補聴器と同種の製品に助聴器と言う物があります。基本的な違いは、管理医療機器としての型式認定を受けていない製品は補聴器でなく、助聴器と言います。集音器と言って宣伝しているものを良く見かけますが、本来の集音器とは傘状の物にマイクロフォンを取り付けたこのような物を言います。これらは医療機器である補聴器とは別物ですのでご注意ください。(※補聴器は聴力測定とセットで行われる補聴器専門店の対面販売でお求め下さい。)
フィッティング
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私たち補聴器の専門家は取り扱う補聴器の各機種の特長を考慮した上でお客様に合う補聴器を選びますが、ご用意した補聴器には更に様々な調整が必要で可能です。この調整は聴力測定結果に合わせて行う初期調整と、補聴器をご使用頂きながら、対面式でご使用感を問診形式で伺って行う調整の組合わせです。問診形式で行う調整をフィッティングといいます。その調整のため、補聴器は耳の穴にすっぽり収まる程の大きさの中に、マイクロフォン・スピーカー・増幅器は勿論、それ以外にプロセッサ(コンピュータ)やメモリー・通信機、そして電池やスイッチ・コネクタなどが組み込まれています。調整作業はソフトウェアを駆使してコンピュータを介して行います。
ご使用者ごとにきめ細かなフィッティングが行なわれて初めて補聴器は聴きとれなくなってしまった音や声を聴こえるように処理します。優秀な補聴器もフィッティングなくしては効果が発揮できません。
トレーニング(1)
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聴こえが正常だった以前のご自身の耳の機能は、気にもしてきませんでしたが極めてよく私たちの脳と連携して働き、何の不自由もなく色々な音も声も聴け理解していました。その耳と脳との共同作業はこの世に生を受けてからずっと、知らない間にトレーニングを重ねてきて備わったものです。
ところが新しい補聴器をつけると、その状況が一度に変わってしまいます。従ってよくフィッティングされた補聴器で最大限に聞き取れるようになった音や声でも、脳の聴覚中枢が最適に捉えて理解できるよう馴れていただく必要があります。補聴器をつけるようになると、当初は特に聞き取った言葉が何だったのかを理解するのにちょっと時間がかかるかもしれません。トレーニングによって徐々に改善していきます。
トレーニング(2)
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トレーニングで聴こえが正常に近づいても、人工の機械の一種である補聴器の能力は残念ながら人間の本来の能力と同じにはなりません。難聴になるとダイナミックレンジと言う、耳が聞こえる音の大きさの範囲が狭く(小さく)なります。この聞こえる範囲に音を増幅し圧縮して出力しますので、特に早口でしゃべった時のように、急にいろんな音が入れ替わるような場面では処理能力を超えてしまったり、さらに増幅率を高く設定した状態では苦痛を感じることもあります。苦痛を感じないように補聴器を設定すると、今度は普通のときに聴こえ方が悪くなることがあります。このような時に少しずつ段階を経て音に慣れて頂くことで、補聴器は更に強力で便利な体の一部になってゆくことでしょう。これも大事なトレーニングの一つです。